治療が複雑で
あるほどに
私たち薬剤師の
役割は大きい。
村田勇人Hayato Murata
6店舗での勤務経験があり、海外を含む社内外の多くの研修に参加。外来がん治療認定薬剤師の資格や、QOLがん認定薬剤師の資格を持つ。
地域に根差し、患者さまに長い期間貢献できるのがクオールのような街の薬局ではないかと考えています。最近では、入院ではなく、外来でがん化学療法を受ける患者さまも多くいらっしゃいます。治療中、ご自宅で不安になることも多いと思います。薬局は生活のなかの身近な存在だからこそ、患者さまの不安を拭うことができるはずです。例えば私は、自分の店舗にがん治療中の患者さまが多かったことがきっかけで、がんのエキスパートを目指しました。今行っている病院研修では、がん治療に関係する点滴の勉強をさせていただいたり、病院と連携することの重要性も学ばせていただいています。病院ときちんと連携し、確実に一人ひとりの治療計画を把握できるように備える。そして、患者さまの近くでケアをつづける。街の薬局として、見守りの輪をつなげていくことにやりがいを感じています。
力を入れている取り組みのひとつに、次の受診までの間にお電話で患者さまの体調をお伺いする、テレフォンフォローアップがあります。外来治療では入院での治療と違って、次の診察日までの体調変化を細かく確認することが出来ません。そこで、街の薬剤師である私たちがお電話で体の状態を聞き伺いながら副作用の発現状況やその他不安に思っていることなどを確認し、ときには医師に治療方法の変更を提案します。実際、患者さまは相談すべき体調の塩梅がわからず我慢してしまい、実は危険な状態にあったということも少なくはないのです。その一本のお電話で、患者さまを守ることができるケースが増えています。
薬局は、患者さまだけでなく、同行されているご家族の方ともお付き合いがあります。万全を尽くしても、残念ながら患者さまが亡くなられるときがあります。「あのときは言えなかったけど、ありがとう」とご家族からお手紙をいただいたとき、これまでの自身の行動を考えさせられました。私はもっと、患者さまのために行動ができたのではないかと。自身の立場から何かできる事はないかと考え続けること、自分の知識を増やしたり能力を磨くことはもちろん、人の気持ちに寄り添うことも、薬剤師の大切な役割です。
薬薬連携の仕組みも構築し、QOLがん認定薬剤師や、外来がん治療認定薬剤師の資格も取得しました。今私の店舗では、子育て中の社員と、4年目の若手社員も資格取得を目指しています。半年の病院研修にも多数送り出しており、参加した社員は「アピアランスケアを強化したい!」「福祉美容師さんと協力体制をつくれないか。」など、街の薬局としてやりたいことがたくさんある!と息を弾ませて帰ってきます。私もそんなメンバーと一緒に、更には、他の薬局や他の業界までをも巻き込んで、もっともっと街の薬剤師として活動していきたいです。