PROJECT STORY 05

新在庫・物流管理システム

余った医薬品を、
薬局が廃棄していいのか。
間違った業界の常識を
物流システムで覆せ。
薬局業界は大きな課題に直面している。
多くの薬局で医薬品の在庫管理が統一化されておらず、
不動在庫・廃棄が起きてしまっていたのだ。
患者さまに薬を提供するべき薬局が、薬を廃棄するのはモラル違反ではないか。
その発想からグループ全体の医薬品の在庫一括管理を実現した物流システムが誕生。
余った薬は廃棄するという、薬局業界に根付いていた常識を覆した革新的な取り組みが生まれた瞬間だった。

PROJECT MEMBER

  • 丹 徹也
    物流管理部
    部長
  • 野月 渉史
    情報システム部
    部長

これまでの常識が間違っているなら、その常識から覆す。

クオールは創業からこれまで、何度も在庫・物流管理システムの構築を試みてきた。業界に蔓延る不動在庫・廃棄の問題を、甘んじて受け入れていたわけではないのだ。しかし、昨日まで先発医薬品だったものが、新薬の登場によって今日、後発医薬品になり、見た目は変わらないのに医薬品を管理するための管理コードのみが変わることがある。また同じ成分の薬でも、錠剤・粉末といった薬の形状だけではなく、シート状・ボトル容器等、入れ物が異なるケースも多い。
医薬品が持つこうした特性は、システムで管理するにあたって大きな壁となっていた。さらに、医薬品の在庫管理を各店舗に一任し、余剰在庫分は薬局長会議で口頭共有するという薬局業界特有のアナログな慣習も、ほかの業界と比較して物流システムの発展が遅れた要因の一つである。
しかし、薬を提供するはずの薬局が薬を廃棄してしまっていいのか。それは、医療に対するモラル違反ではないのか。そう考えていたクオールは、診療報酬改定や企業規模拡大という背景もあり大規模な在庫・物流管理システムの構築に踏み切った。

現場を知らなければ、
現場を支えるシステムはつくれない。

このチャレンジが一筋縄ではいかないことを、クオールは身をもって知っていた。医薬品の管理方法やデータベースの登録ルールはもちろん、各エリアでバラバラだった仕入れ先や価格も統一する必要がある。また、当時全国700以上あった店舗のすべてにスムーズに導入するにはどうすればいいのか。乗り越えるべき課題は山のようにあった。しかし、会社としても業界としても、このテーマに挑む価値はとてつもなく大きい。
業界の未来を左右する一大プロジェクトにアサインされたのが、丹と野月だ。システム会社で働いていた野月は、システム構築のプロではあったが、薬局の仕組みや業務の流れについての理解は不十分。在庫・物流管理に必要な要素は洗い出せたものの、それを薬局業務に落とし込んだときにどうシステムを結合・構築すればいいのか考えあぐねていた。そこで丹が提案したのは、現場に出向き実際に薬の袋詰め等を体験する中で、薬局業務の全体像を把握すること。
「どんなに素晴らしいシステムを構築しても、使ってもらえなければ何の価値もない。システムをつくる上で現場を知ることが一番のヒントになる」。丹は、長年の経験からシステム構築に大切な要素を知っていたのだ。

コスト削減、業務効率化、
そして、患者さまと接する時間。
システムがもたらしたものは
計り知れない。

様々な苦労を乗り越えて、現場の生の声を活かした革新的なシステムが完成した。約半年という期間を経て当時の全国700店舗への導入が完了。医薬品の不動在庫の回収と再分配をスタートさせた。大手物流会社のネットワークを活用して医薬品の回収を簡易化し、さらには薬に限らず薬剤師のユニフォームや事務用品等も共同配送することで、発送・納品のスリム化にも成功。医薬品に関する不動在庫の年間管理コストはこれまでの3分の1にまで減少し、薬剤師の業務効率化にもつながった。
しかし、在庫・物流管理システムがもたらした最も大きな恩恵は、コストカットではない。現場の薬剤師の負担が減り、薬剤師が患者さまと接する時間をこれまで以上に取れるようになったのだ。コア業務に集中できるようになったことで、サービス品質は大きく向上。薬剤師のモチベーションアップにもつながっている。
もちろん、システムは導入して終わりではない。今も増えつづける現場からの改善要望の数は、年間700以上。その一つひとつがこれからのクオールを、そして薬局業界の未来をつくっていく財産だ。薬局と薬剤師の先にいる患者さまのために、丹や野月はシステムを通じてクオールを支えていく。

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